2024年4月30日 『君たちはどう生きるか』の映画感想

4月3日『君たちはどう生きるか』は中国でも上映され、
ちょうど中国の工場に行っていたため、現地で観に行きました。
ストーリーは難解な箇所が多く、観た後にスッキリとはしませんでした。
そのため、帰国後に改めて観に行きました。

映画のストーリは、母を失った少年が新しい母親を受け入れ難く、
ある意味で自分の内的世界に踏み込んでいき、
現実世界の似姿として描かれた世界へ、
けがれると感じて忌み嫌うものをどう受け入れるか、
主人公少年は最後、自分の悪意を認め、
ある世界に残ることを拒否して帰ってくるファンタジーでした。

この映画の題名『君たちはどう生きるか』は、
宮﨑駿監督が子供のころに読んで感銘を受けた吉原源三郎氏の同名小説から
名前を拝借したもので、内容はまったくの別物でした。
映画公開まで宣伝を一切しないという前代未聞の施策で
封切られた宮﨑監督の10年ぶりの新作です。

この映画はこれまでのジブリ作品と違い、
宮﨑監督が自分の半生を振り返って、自身が映画の中に存在しています。
本当の意味で宮﨑監督の作りたい作品を作ろうとしていました。
82歳という年齢に評価が二極化する作品を世に出すという姿に感動し、
ものを作る立場として、まだ見もしない世界がそこにあるのだと思いました。

『君たちはどう生きるか』は、学ぶこととは、そっくりそのものを写し取るのではなく、
自分自身の世界を積み上げていくべきというメッセージを伝えたいのではないかと感じました。
この映画を二回見ても完全に咀嚼できないような気がしますが、
劇場を出たときに、いい映画を見た後のあの充足感と同じ覚えがあります。
万人受けを狙わず、宮﨑監督のやりたいことをとことんやった感が好きです。