2023年11月22日 谷村新司さんを偲ぶ『昴ーすばるー』
10月8日にシンガーソングライター谷村新司さんが亡くられました。
彼の作詞、作曲した『昴ーすばるー』は、
中国で多くの市民がこの曲を聴いて、
日本に対するイメージが大きく変わりました。
2010年の上海万博開幕式で谷村さんが日本代表としてこの曲を披露しました。
開幕式後の1週間、中国のレコードショップでは谷村さんのCD売上が急増し、
『昴』は日本の歌であることを多くの人が知り始めました。
この歌に感動した人の殆どが日本語を理解できはずなのに、
なぜ谷村さんの歌に共鳴したのでしょうか。
80年代~90年代、香港や台湾歌手によるこの曲の中国語カバーが歌われ、
40歳から55歳ほどの年代の人々は、この曲が青春の思い出となっています。
オリジナルを聞くのは今回が初めてという人が多いようですが、
日本語の歌でありながら、彼らの心に響いたものは懐かしい思い出、
そしてそれ以上に現状に対する様々な思い、感傷もあるでしょう。
文化大革命による少年少女時代を経て、
青春時代に、突然人生の夢の扉が開かれ、
迷うことなく、ひたすら夢に向かって走り続けてきました。
昔のような窮屈な生活と決別し、
ほどほどな生活水準を手に入れることができました。
しかし、そうした豊かな生活にくらべ、心はどれほど満たされていますか、
そもそもこれは自分が最初に憧れた人生ですか、
谷村さんの『昴』を聴いて胸にはこのような思いが去来したのではないでしょうか。
言葉が通じなくても、肌で感じる本物の声、
気迫に満ちている日本語の原版と比べ、
訳した中国語歌詞がギュッと伝わらなくいまいちでした。
市場経済の波に流され、ここで立ち止まることはできません。
谷村新司さんの歌は癒しとその純真さを、
彼らの心に、勇気を与えてくれたのは間違いありません。