2022年2月7日 故郷
「鉛色の空の下、わびしい村々が、いささかの活気もなく、
あちこちに横わたっていた。おぼえず寂寥の感が胸にこみあげた」
それが中国近代文学の父と呼ばれる魯迅の『故郷』冒頭一文でした
百年前に描かれたこの作品の内容は
故郷で見た風景や、人々との出会いによって
希望から失望へ、失望から絶望へ
そして絶望から新たな希望へと変化している「私」の心情を描いた作品です
この文学作品は日本と中国の中学国語教科書に両方とも採用されています
中学といえば、生涯でもっとも多感な時期でもあり
その時に感動したことは一生心から離れることはないでしょう
北京冬季五輪は収束のみえないコロナ禍の中で開かれ
開会式のテーマは二十四節気、希望があふれる立春節からスタート
最新技術を駆使し、風にそよぐ草原の緑に目を洗われるようでした
「共に未来へ(一起向未来)」というスローガンが揚げられ
おおくの競技選手の励ましにもなります
『故郷』の末尾で、
「思うに希望とは、もともとあるとも言えないし、ないものとも言えない
それは地上の道のようなものである。
もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道に成るのだ。」
この名作は比類なく広く読み継がれ、希望の力を信じようとするからです