2021年10月12日 一色を、一生をかけて追い求め
              ―染織家 志村ふくみさん

連休の間、志村ふくみさんのエッセイ『一色一生』を読みました
自然を人間の背丈に合わせるのではなく
自然へできるだけ歩み寄ろうとする姿勢が
文章いたるところに満ちている

著者の織物作品には
日本の美しいデリケートな自然を表すため
糸を細かく、グラデーションから染め始め
それを織っていたら、自然に山がぼけて
霧のようなイメージが作品に織り込まれる
日本の湿潤な風土、その中、情緒が醸し出され
豊かな自然環境と深く関わって切り外せない

先日、クラウドファンディングの「マクアケ」というサイトで
藍染技術を生かした作務衣メーカーの資金調達は
設定金額より2000倍超えの結果記事を目にしました
購入者のコメントには「使い捨て衣服はいりません
長く愛せる質が良くしかも美しい物を日常に着たい」と書かれてある

志村ふくみさんは自然をじっくり見据え
自然からの恩恵をいただく技こそが「ものづくり」の極み
どんな時代でも、自然のぬくもりを追い求め
世相に煩わされるのではない態度、生き方として
深い思慕の念が印象に残った