2024年10月30日 漢字について その3

前回も書きましたが、
中国語の中に日本発祥の漢字が多く使われています。
では、日本列島に住んでいる人たちは、
いつごろから漢字を文字として理解し始めたのでしょうか。
それは、遡って紀元3世紀ごろ、
日本と中国との間を行き来する使節団は、中国語の文書を扱うため、
その時同時に日本へ漢字がやってきました。

ところが、今の隣国である韓国は人名と地名を除いて、ほぼハングルで記しています。
その理由は、ハングルだけで人名、地名を書くと
同姓同名、もしくは同じ地名が多くなってしまい、
本来の名前の意味が伝わらなくなるのだそうです。
韓国で漢字が読めない若者もどんどん増えています。
国民は使う文字がハングルだけでよいか、漢字も併用すべきかとの論争は今も続いてます。

それに中国出身の私は、漢字の形を見てイメージをします。
「暑い」「厚い」は同じ読みですが、
意味の違いが見た瞬間に理解できます。
ですから、小説に漢字がたくさんあるほうが意味を理解しやすいので好きです。
いまだに、カタカナの外来語を覚えるのに大変苦労しています。

日本語には漢字のほか、ひらがなやカタカナもあり、
とても豊かな表現ができます。
文面に漢字がなくてもほとんど通じますが、感受性という面で考えますと、
漢字もたくさん覚えたほうが豊かになるのではないでしょうか。

言葉や文字には、コミュニケーションの手段と、
民族のアイデンティティのよりどころという二つの側面があります。
世界約200カ国の中で、現在も漢字を使う国は中国と日本しかありません。
論理性の強い漢字と漢字文化が感受性の強い日本との組み合わせにより、
グローバル化の記号、または、英語圏文化に応答できないアジア的記号は、
これからのAI時代の主役になるのは、そう遠くないと思われます。